2021年度 開成中学の入試問題分析

みなさんこんにちは。

今回は開成中学の入試問題分析です。
こちらは豊洲校と勝どき校の教務職員が担当しました。

算数

大問3題の構成で、小問集合が数年ぶりに復活したことで、昨年や一昨年とは異なる形式であった。

大問[1]がその小問集合だが、計算問題は出題されていない。(1)(2)(4)は規則性を考えて解く。(4)は非常に面白い問題。小数第56位、小数第96位は、繰り上がりが発生することに注意してていねいに書き出す。途中からは書き出すだけでなく計算も織り交ぜて素早く解きたい。

大問[2]は立方体の内部にできる三角すいの体積を求める問題で、小問ごとに図を分けて考える。

大問[3]は数学的な背景として二進数の足し算になっていることに気付いてほしい。二進数に気づかないと(5)を時間内に解くのは難しいだろう。問題文のとおりにやってみること、具体的に書き出して考えていくこと、前の小問からの流れをくむことが求められているのは例年どおりである。

国語

昨年までと同様、大問[1]が物語文、大問[2]が論説文。これまでと違い、記述には字数制限がつくようになった。

物語文は昨年一昨年に比べ倍近く長くなり、速く正確に読む力が求められた。
しかし、内容はこれまでも開成に選ばれてきた同年代の男子の成長物語で、視点人物である少年の心情に寄り添って解いていくことに変わりはない。

論説文のテーマも「常識や伝統をそのまま受け入れるのではなく、自ら考え行動して自分らしさを獲得する」という定番のものであった。

どちらも解きづらさやとっつきにくさのない問題で、非常事態の中、基本に立ち戻ろうという開成の姿勢が見えるものといえる。

理科

最後の大問[4]以外は比較的易しい出題で、ここ数年では一番解きやすかった。

大問[1]Ⅰは基本的な知識を確認する問題。Ⅱは実験器具を使う際の考え方が問われた。

大問[2]Ⅰは天体。問3は月の公転面と地球の地軸の傾き方が季節ごとにどうかわるのかを理解しておきたい。Ⅱは絶対量が変わらない水の行き来を考えさせる。また今年の受験生なら定番であった「線状降水帯」も出題された。

大問[3]では生物の生存戦略を問われた。知識ではなく与えられた資料により考えさせる問題であった。

大問[4]は力学。合成重心を理解させる流れがていねいなので、誘導に乗って考えれば対応できる。

社会

昨年度と比較して問題数に大幅な違いはないが、全体的に難度が上がり、歴史分野が大問[1][2]に分けられるという出題形式の変更があった。

大問[1]では江戸時代以前が扱われ、高難度の正誤問題が出題された。

大問[2]では近現代史から時代背景を問う出題。

大問[3]は公民分野。昨年度とは異なり、日本国内だけでなく、外国の政治制度や歴史に関する問題もふくまれた。

大問[4]は地理分野。地図やグラフ・データの読み取りを中心に、知識があることを前提とした思考力を問う問題であった。

瞬時に解ける問題が少なく、例年に比べて時間に追われる受験生が多かったと思われる。

以上、開成中学の分析でした。
次回は分析会資料作成の様子をお伝えします。
それではまたお会いしましょう。