2020年度 桜蔭中学の入試問題分析

みなさんこんにちは。
今回は桜蔭中学の入試問題分析です。
こちらは、本郷三丁目校の教務職員が担当いたしました。

算数

標準的な問題と処理が大変な問題がバランスよく配置されている。
大問Ⅰ(3)は植木算で条件に合う数値を書き出して調べると規則性が見える。

大問Ⅱ(2)は図形に規則性を絡めたもので桜蔭の定番問題である。上から見えるところと下からみえるところで規則がちがう等、問題文の内容を正しく把握して、丁寧に処理をすることが求められた。

 2020桜蔭算数Ⅱb

大問Ⅲの立体図形の問題は、立体を平面に置き換えた図を書きながら、高さを間違えずにとらえる力が必要である。

大問Ⅳは数の性質と3種のつるかめの融合問題で、桜蔭の定番解法を絡めた問題である。問題文の内容から使うべき解法が読み取りやすく、処理も平易だったため、桜蔭対策の成果が発揮されやすい問題であった。

標準的な問題で確実に正解したうえで、その他の問題をどれだけ素早く対応できたかが合否の分かれ目になったと思われる。

国語

大問Ⅰ「エベレストには登れない」 2019年12月発売のエッセイ集からの出題。約5000文字。
筆者はノンフィクション作家・冒険家の角幡唯介。
抜粋部分・設問から「GPS(科学の発展)が100%正しくない」という桜蔭らしい考え方がうかがえる。
100字程度の記述が3題出題されたが、難度は標準レベル。
設問に沿ってまとめられれば、それほど難しくなかった。

大問Ⅱ「思いはいのり、言葉はつばさ」 2019年7月発売の小説。約5000文字。
作者は児童文学作家のまはら三桃(みと)。
内容は中国・湖南省に実際に伝承されてきた文字をテーマにした児童文学。
細かい設定に踊らされることなく、登場人物の置かれた状況・背景を正しく想像する読解力が問われた。
校訓でもある「勤勉 ・温雅 ・聡明であれ」という主題を意識できれば、短時間で記述をまとめることができただろう。

理科

大問 II 密度の計算、大問III 植物、大問IV さおばかり
これらはどれも5年生で学習するレベルの難度。この3題は短時間で全問正解が必須である。

大問I 炭素の循環 
問4はマウナロア・綾里・グリム岬といった地名に惑わされると正解できない。
解答速報で間違えていた塾があるくらい迷いやすい問題だからこそ、ここで時間を使わず後回しにする判断が必要であった。

大問V 水の状態変化は冒頭に提示された「水に入った氷はとけやすい」という事実をもとに考えていくだけの問題。
しかし、この事実を体感で理解している受験生は少ないはず。

大問I~IVまでを素早く解いて、残り時間に余裕のあった受験生ならば、冷静に考えられたであろう。

社会

大問Ⅰ 地理
問2の7「ひさし」・「なだれ」が答えにくいが、それ以外は小5の学習内容。
問3の「ひさし」・問8の「津波避難場所の利点」は後回しにするのが得策である。

大問Ⅱ・Ⅲ 歴史 小5の学習内容そのもの、全問正解が必須である。

大問Ⅳ 公民・時事問題 ⑤の5の「経済特区」は高校での学習内容、「歯舞群島・色丹島返還」は小学生には高度な内容といえる。予想通り、難度は低めであるものの、短時間で要領よく答えるスピード勝負であった。

以上、桜蔭中学の入試分析でした。
次回も引き続き入試分析の記事を掲載いたします。