2023年度 女子学院中学校の入試分析

本日で今年度の分析ブログは最後となります。
たまプラーザ校・武蔵小杉校が担当した女子学院中学校の分析を掲載します。

算数

小問集合、平面図形、規則性、点の移動、カード配り、サイコロ、時計の問題が出題された。

大問7の時計の問題は正しい時計と遅れる時計A、速く進む時計Bを比べる問題。
1時間でどれだけずれるかを考えて、それぞれの時計が同時刻に何時何分何秒を示しているかを考える。
しっかりと状況をまとめる力、かつ正確な計算力が試される良問であった。

例年どおり制限時間に対しての問題数は多いが、ここ数年出題されていた角度や速さなどの難度が高い問題が減り、難度は以前の女子学院に戻った。
ただ、処理能力の高さが要求されることは変わらない。
普段の学習でも時間を意識して取り組むことが大切である。
75%を狙っていきたい。

 

国語

大問一の説明文は、野田祥代「夜、寝る前に読みたい宇宙の話」(2022)からの出典。
経験や記録が世代を超えて受け継がれることで学問が発達してきた歴史を振り返り、新型コロナ感染症のような世界的な課題に対して、人類が協調して対処していくことの大切さを説く。
こちらは記述が少ないので、15分程度で解く。

大問二の随筆文は、ブレイディみかこ「他者の靴を履く」(2021)からの出典。
新型コロナ感染症の流行の下の生活の中で、他者とのつながりへの意識を強めていく筆者の経験が書かれている。
20分程度で解く。

大問一、二とも、新型コロナ感染症という状況に対して、人々が団結して立ち向かっていくことの必要性を訴えかけるものであった。
他者にかかわり、団結すべきとのメッセージが込められている。
記述は要約、端的な説明を行うもの。
短時間で対応できるよう同種の記述問題で練習しておきたい。

大問三は漢字の書き取り。難しくないので1、2分で仕上げたい。

 

理科

惑星の自転公転、食物連鎖、物質の分類、電流と回路図が出題された。

大問Ⅲの1では食酢にさびた銅や卵の殻、魚の切り身を入れると反応があるのかを考える問題。
液体を凝固させる際に温度によって物質がどんな状態になっているかをグラフとともに判断させる問題が出題された。

計算の難度は昨年度と変わらず高くないが、知識問題は明白な選択肢が少なく解きにくい問題が多い。
時間内に解き終わらせるためには、知識問題に対して深く考えすぎず時間を区切り、物理や化学範囲の計算問題の情報整理をする余裕を持たせる時間配分をすることが重要であった。

 

社会

「西陣織の歴史」、「失業という社会問題」そして「失業と失業保険制度」をテーマとした大問3題の構成。
テーマにからめて地理・歴史・公民の複合的な知識と推理力を問う問題が出題された。

形式は選択肢問題が中心、記述問題は各大問に約1問ずつで問題数は30問と例年どおりだった。
40分の制限時間内で解くことを考えると、今年も素早い情報処理能力、要素をとらえたスマートな表現力が求められた。

選択肢問題中心ではあるが、知識を駆使して選択肢全文を詳細に吟味し、そこから未聞の選択肢の正誤を正しく推理する力が求められている。

製糸場の工女にからめて「女性の失業を問題にしなかった戦前の政府の対応理由」を問う問題では、歴史的社会的に差別を受けてきた女性目線の、女子学院らしい問題も出題されている。
受験の基礎知識はもちろんのこと、身に着けた知識を教科をまたいで応用し考える力、時事問題や社会事象に精通した社会性を広く身に着けたい。