2022年度 開成中学校の入試分析

みなさんこんにちは。

本日より、男女御三家中学の入試分析を掲載していきます。
まずは、吉祥寺校が担当した開成中学校の分析です。

算数

一昨年、昨年と難問だった立体図形が大幅に易化した。
さらに、ここ数年の開成算数を特徴づけていた「長いリード文つきの問題」が、有名問題の解法パターンに当てはめられる内容だったため、全体的に取り組みやすい印象である。

大問1
小問4題。
いずれも計算力を問う内容だが、九去法やユークリッド互除法といった周辺知識があると楽ができる。

大問2
等間隔にスライスした円すいに関する問題。
開成の立体図形としてはかなり易しく、全問正解しておきたい。

大問3
与えられたルールに従ってマスを塗り分ける問題。
「漸化式」の仕組みがよく分かる構成になっており、4~5年生もぜひ解いてほしい。

大問4
今年度、時計をテーマとしたものは、開成の他に麻布、桜蔭、雙葉でも出題された。
針のなす角が等しくなる時刻を求める問題は以前にも出題されたことがあり、過去問で対策をしっかり行ってきた受験生であれば十分対応できたであろう。

 

国語

昨年までは物語と論説文の2題構成だったが、2013年以来9年ぶりに、10000字超となる長文の物語文1題の出題となった。
記述に字数制限があるのは昨年度と同じ傾向である。
例年に比べ要求されるレベルが高く、漢字以外は記述が5問しかない構成である。

物語は世相を反映した内容となっている。
主人公の父親は貧困家庭のこどもに対して無料で食事を提供する「こども飯」サービスを実施している。
父親は「やりたいようにやる」と言っているが、主人公は日頃から偽善者と言われ続け悩む。
とうとう学校の机にも偽善者のムスコと落書きされて落ち込むが、仲の良い女子生徒と共にその悩みを乗り越えようとする、開成らしい男子の成長を描いた物語である。

主人公である少年の心情に寄り添い、父親への反抗や周囲からの視線など、思春期ならではの悩みや気持ちを字数制限にしたがって記述することが解答の鍵となる。

 

理科

4題の構成。大問1:植物 大問2:ゴムの性質 大問3:物質の性質 大問4:気象。

大問2は、加熱するとゴムが縮む性質を利用した内容である。
与えられた条件の意味を理解し、問題の流れを読みとれば全問正解も難しくない。
しかし、条件の意味を理解できなかった受験生が多かったようで、理科の合格者平均は54.0点・受験者平均は48.6点と5点以上開いている。
なんとなく計算していては正解にたどり着けない。

大問3は、化学という学問を物質の学問として定義し、身近にあるもの(砂糖、針、ハサミ、レンガ)の性質を通じて、物質を認識させる内容となっている。
題材として、ドイツの化学者オストワルドの著作『化学の学校』の一節が引用されている。
文章は平易で読みやすく、設問も引用文の流れで理解できる。
大半の受験生は得点できただろう。

 

社会

問題数が昨年度の大問4問から大問3題に変更された。難度は昨年度並みである。

大問1
奈良時代から昭和時代までの通史である。
一部用語を除き基本的な問題が多く、確実に得点を取りたい。

大問2
地理分野の出題で、丸暗記では解けない問題が多く出題された。
設問の意図を読み取る考察力と緯線経線を含めた日本地図の把握が要求された。

大問3
公民分野と現代史。
OECDの日本語名を書かせたり、GAFAの「G」が指す企業の名前を書かせたりする出題があった。
また「ジェンダー平等」に関連づけて、母親に対するアンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)を記述させる出題もあり、現代社会の問題点も問う内容になっていた。

全体を通して、緯度・経度や面積の推測など計量的な能力やGAFAなど身のまわりの社会への関心を前提とした思考力を問う出題が多かった。
そのうえで大問2の地理問題で問われるような視点や考察を理解し、解答につなげることが重要である。


以上、開成中学校の分析でした。

次回も引き続き入試分析の記事を掲載します。