2020年度 雙葉中学の入試問題分析

みなさんこんにちは。
今回は雙葉中学の入試問題分析です。
こちらは武蔵小杉校とたまプラーザ校の教務職員が担当いたしました。

算数

昨年まで頻出だった比と割合が出題されず、昨年は出題されなかった速さの問題が復活し、新たに整数の性質が出題された。

小問集の大問1と図形の大問3は難しくないので時間をかけずに正解を出したい。
速さの大問5は、条件から各バス停の発着時間を整理できれば典型的な旅人算として解ける。
大問2の日付の数字を足す問題では迷わず書き出す。
大問4は基本的な整数の性質が題材だが、書き出しを行い条件に合わないものを除外する。
(2)では3の倍数を除外するだけでなく、分母に1と2が入らないことも見落とさない注意力が必要だ。

全体的に難度は高くないが、複雑な計算を短時間で正確に処理する計算力と、大問2、4の書き出しや大問5の条件整理で雙葉らしい丁寧な作業が求められた。

国語

長文の論説文(約5500字)は、2002年刊行の武田邦彦「二つの環境~いのちは続いている~」が出典。
人間の行いに警鐘を鳴らし自然との共存共栄を訴える、雙葉が好むテーマである。
18題中、注目すべきは問2「冷蔵庫によって赤ちゃんの命が救われたと考えられるのはなぜか」という記述。
冷蔵庫=長期保存・食中毒予防など、飲食物の腐敗を防げるという一般常識を答える。
本文の内容だけでは正解できない。

問18「2002年から18年たった現在の環境について、あなたはどう思いますか(具体例を挙げて)」という120字記述は、自由記述ではない。
筆者が危惧しているとおりに、人間が自分たちに都合のよいように環境を作り変えている現状を「改善するべき/しなければならない」という結論にまとめる。
盛り込む具体例は本文の内容に沿って、生活に身近なゴミ問題や河川の護岸など。
雙葉の方針である、『自分の行動に責任を持つ』生徒像に合った解答が望ましい。

大問2は語句、大問3は例年どおり漢字の読み書きだが、いずれも易しい。
エルカミノの教材で全問正解できるレベルである。

理科

大問1の発光ダイオードと大問3の密度は、実験結果とリード文の誘導にのっていけば正解を出せる。
大問3の脂肪酸の組み合わせと大問4の比を使った月の直径の計算は、算数の問題と考えれば難しくない。
大問2の骨と筋肉のはたらきは基本的な問題だったが、前腕の骨の本数は自信をもって答えられた生徒は少ないだろう。
大問4の月から見た日食の問題は、「地球から見た視点」「太陽系を上から見た視点」など、視点を切り替えながら天体の概念を学習していた生徒にとっては難しくなかった。

社会

例年通り、地理・歴史・公民の3分野がバランスよく出題され、基本知識を問うものがほとんどであった。
昨年度までは表・グラフは単独で出題されていたが、今年度は3つの表を比較させる地理分野の出題があった。
大問1では、「表1:産業別人口構成」「表2:耕地面積・林野面積」「表3:昼夜人口・夜間人口」の3つの表を基に、どの都道府県かを考察する必要がある。
いずれの表も小5までに学習した知識を応用し、小問の問題文のヒントに気付けば答えられる。

歴史・公民分野において問題数は少なく、難度も平易なので、高得点を目指したい。

 

以上、雙葉中学の入試問題分析でした。