2019年度 筑駒中の入試問題分析

みなさん、こんにちは。
今回は筑波大附属駒場
中学校(筑駒)の入試問題分析を掲載いたします。
筑駒中の分析は、運営本部長の清水が担当しました。

<筑波大附属駒場中学校>

算数

 過去最高の難度で合格ラインは6割弱だろう。特に大問[2]の場合の数と大問[3]の速さが難しい。

 大問[1]の数の性質、大問[4]の平面図形は、大問[2]、大問[3]に比べれば解きやすいので、この2題で1ミスに留めたい。ただし大問[4](3)(下図)は正しい作図を気づきにくい。「問題文中の2.6cmを使わないはずがない」と考えて、冷静に通過部分を想像する。

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 大問[2]は数学的には面白いジャンルだが、試験時間中に本質に気づくのはほぼ不可能だろう。(1)だけ解いて(2)(3)をとばしてしまうほうがよい。大問[3](3)は周期をかきだしていき、白色がA→BのときとA←Bのときとで分けて考える

国語

 大問[1]は美術批評家による随筆。6問の小問すべてが記述問題になっている。文章や小問は難解ではないが、記述の素材となる言葉が文章中にほとんどない。親の子どもに対する気持ちや批評の定型など、前提の常識を使って自分の言葉で文をつくる必要がある。例年よりも長文読解の問題が減っているが、その分解答しづらい記述問題が増えており、難度は上がったといえる。

 大問[3]の詩はシジミについて書かれたもの。大問[1]と同じく、6問の小問すべてが記述問題になっている。今年は詩の解説文が付いており、「解説文なしでの解釈」、「解説文に沿った解釈」という2つの解釈を問う、極めてめずらしい問題であった。自分とは異なる視点を理解するという国語の本質を試す良問である。

理科

 毎年、最後は電流の問題だが、今年は最後の大問[7](下図)が光と鏡の問題に変更された。一見すると反射の複雑な問題に見えるが、光の反射点と到達点を把握すれば、後は算数として解ける。大問[6]の力学が超難問で、受験生のほぼ全員が完答できないレベルであるため、大問[7]は全問正解しておきたい。

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 今年は大問[7]以外にも、大問[2]と大問[4]で算数のセンスが試されるものが出題されていた。理科に算数が混ざるのは最近の中学受験のトレンドになっている。東大の物理や化学でも、同様に計算や数学を要求されるので、大学受験を見据えた出題をしているのだろう。

社会

 昨年より難度が若干上がった。ただし要求される知識のレベルが上がったというよりは、解答に至るまでに必要となる読解能力や計算能力のレベルが上がっている。社会=暗記ではない、という筑駒のメッセージだろう。

 大問[2]では、表に示された項目がかなり多く、すべてを計算するには時間が足りない。どのあたりを計算すればよいかを見抜く力が必要であった。人口重心(下図)の話は、NHK「チコちゃんに叱られる」でも取りあげられていた内容。

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 30字の記述が出題されたのはめずらしいが、それほど難しい記述ではないことや受験生の学力をふまえると、合否に大きな影響を与えたとは思えない。

 

以上、筑駒の分析でした。
それではまた次回お会いしましょう。